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泌尿器科
泌尿器科専攻医(後期研修)カリキュラム
概要
兵庫県立尼崎病院泌尿器科では、卒後臨床研修を終えた3 年目から6年目までの専攻医に対し下記の要領で研修を行います。研修は基本的に責任医のもとで主治医、担当医として割り当てられた症例に対し診断、治療を行います。担当する症例は尿路性器悪性腫瘍、尿路結石症、尿路性器感染症、前立腺肥大症、内分泌疾患、腎後性腎不全、小児救急疾患など多岐にわたり、それぞれの病態をよく理解した上で診断、治療に当たります。検査や手術、抗癌化学療法などは、まず具体的な目標を設定した上で標準的な手法を習得します。また、治療が困難なハイリスク症例や進行癌症例、終末期悪性腫瘍の症例に対しては患者や家族とのコミュニケーション、症例検討会や抄読会を通じてより実際的で有効な治療法を模索し、効果、QOLを考慮した診療を実践します。
研修期間を前期2年、後期1年に分け、それぞれの期間、あるいは3年を経過した段階で習得すべき目標を設定します。
目標を、習得すべき時期、難易度に応じて原則として3段階に区分し、設定します。
Aランク:3年間の研修期間後も指導医のもとで行うことが望ましい診療
Bランク:原則として前期研修期間には指導や協力のもとに行える診療で、3年間の研修終了後には独力で行うことが望ましい診療
Cランク:3年間の研修終了後には独力で行うことが必須とされる診療。前期研修終了後にも独力で行うことができることが望まれ、後期研修期間には下位研修医の指導も行うべきである。

基本的事項
- 患者・家族と良好な関係を構築できる。
- 医療チームの構成員として協調して医療に従事できる。
- 患者の問題点を明らかにし、解決することができる。
- 安全な医療を遂行できる。
- 患者から正確な情報を収集するとともに、基本的な一般診察ができる。
- 社会における医師の役割を理解し、種々の法令や倫理に従った正しい行動をとることができる。

一般的事項
- 尿路生殖器の解剖、発生、生理を理解する
- 検査値の意義を理解する
- 泌尿器科診療でよく使用される言葉を理解する
- 診療録、各種記録を記載する
- 検査や手術に使用する各種機器や材料を理解する

泌尿器科検査
目標:尿路生殖器の検査の必要性、意義を十分に理解し安全に実施できる
- 点滴腎盂造影・・C
- 管腔造影(膀胱造影・・C、逆行性腎盂造影・・C、直接腎盂造影・・Bなど)
- 内視鏡検査(膀胱鏡・・C、尿管鏡・・Bなど)
- 残尿測定・・C
- 超音波検査(腎、前立腺、陰嚢・・C)
- 尿動態検査(尿流量検査・・C、膀胱内圧測定・・Bなど)
- 生検(腎・・A、前立腺・・Bなど)

診断
目標:尿路生殖器悪性腫瘍や尿路結石症、尿路性器感染症などの診断を的確におこなえる。また鑑別診断が行える・・C(またはBまたはA)
- 理学所見
- 触診(腎、前立腺、陰嚢など)
- 視診(陰嚢、外性器など)
- 問診
- 現病歴
- 既往歴
- 家族歴
- 主訴(排尿状態、血尿、疼痛など)
- 尿検査
- 画像診断
- レントゲン検査(腎・尿管・膀胱単純撮影、点滴腎盂造影、その他の尿路造影検査など)
- 超音波検査(腎、前立腺、陰嚢など)
- CT、MRIなど
- 畜尿、排尿状態の把握
- 尿動態検査(Urodynamic Study)
- 内視鏡検査
- 組織生検
上記の項目を十分に検討し正確な診断に結びつける能力が必要とされます。特に悪性腫瘍では臨床病期分類によって適切な治療法が選択できるのであり、転移・浸潤などの見落としがないよう細心の注意を払う必要があります。

治療法
目的:正確な診断のもと、患者の年齢、リスク、社会的要素、予後などをもとに治療計画を立てることができる。また、臨床経過に応じて治療法を追加、中止、変更ができ、治療効果について評価ができる。患者、家族に病態について合理的な説明をすることができ、責任をもって適切な治療に導くことができる。
- 手術・・以下の主だった手術につきその目的を理解し、手技について研修を行う。
*印:術者として手術を担当することがあるもの
- 腎摘出術・・A
- 副腎摘除術・・A
- 腎・尿管全摘除術・・A
- 膀胱全摘術および各種尿路変向術・・A
- 根治的前立腺摘除術・・A
- 精巣摘出術*・・C
- 高位除精術・・B
- 腹腔鏡下腎摘除術
- 腹腔鏡下副腎摘除術
- 経皮的腎ろう術*・・B
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)*・・C
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術*・・B
- 経尿道的前立腺切除術*・・B
- 経尿道的膀胱砕石術*・・C
- 内視鏡的尿道切開術・・B
- 経皮的腎砕石術・・A
- 経尿道的尿管砕石術・・A
- 精管結紮術*・・C
- 包皮環状切除術*・・C
- 精索静脈瘤高位結紮術*・・B
- 精巣固定術*・・B
- 陰嚢水腫根治手術*・・C
- 化学療法・・薬物の生理生化学的効果を理解し、副作用を最小限に、最大限の効果が得られるように投与する
- 抗癌化学療法・・AまたはB
- (1) 適正なプロトコールの選択
- (2) 適正な用量設定
- (3) 安全な投与法および副作用、トラブルへの対応
- (4) 治療効果判定
- 抗菌化学療法・・BまたはC
- (1) 感染症の起因菌に対応した適正な抗菌剤の選択
- (2) 用量、投与期間の決定
- (3) 菌交代、耐性菌への備え
- 放射線療法・・放射線療法の基礎的な知識をもとに放射線科医師とともに治療計画をたてられる・・BまたはC
- 根治目的
- (1) 前立腺癌
- (2) 膀胱癌、陰茎癌など
- 除痛目的
- (1) 前立腺癌や腎癌、膀胱癌の骨転移など
- カテーテル管理・・尿路変向や高度の排尿障害を有する症例についてはカテーテルによる排尿管理が必要となる場合がある。バルンカテーテルや尿管ステントなど、定期的な交換が必要なカテーテルについて、これを問題なく留置、交換、抜去ができる・・C
治療法は日進月歩であり、常に最新の知識を有している必要があります。また診断法、治療法が標準化されるよう、診断と治療法の決定を症例検討会などで議論するシステムを取り入れています。

評価方法
上記の事項に関して、研修開始後6ヶ月ごとに担当指導医による評価をうける。評価はABCDの4段階で行い、全ての項目に関してB以上の評価である必要がある。評価基準に達していない場合は、担当指導医により与えられたテーマにつき研究を行い、レポートを提出する必要がある。また研修期間中に少なくとも2回の学会発表、少なくとも一編の学術論文を発表することを目標とする。

指導体制・学会施設認定
指導責任者
泌尿器科部長 濱見学(日本泌尿器科学会指導医)
指導医
泌尿器科部長 山田裕二(日本泌尿器科学会指導医、腹腔鏡手術技術認定医)
日本泌尿器科学会指定研修施設
